『勝手に!カミタマン』研究

『勝手に!カミタマン』(1985〜86)を敬愛するブログです。

第29話「タタリの宇宙大戦争」(1985年10月27日放送 脚本:浦沢義雄 監督:大井利夫)

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【ストーリー】

 静かな小学校の校門から、ひとり出てくる横山(末松芳隆)。

横山「ああ偏頭痛、ああ偏頭痛」

 突然駆けだして「やった! 早引き大成功」。するとタタリ(花房徹)が「横山くん」と手招きしていた。

 タタリは横山に「ちょっとインタビューしたいんだけど」とマイクを向ける。

タタリ「最近カミタマンって神さまとしてその気になってると思わない?」

横山「え?」

タタリ「いやだからさ、あの頭の悪さ。そしてあの図々しさ。よく神さまやるよ。ね、そう思わない、横山くん!?」

 タタリは「ね、お願い、そう思って!」と横山につかみかかる。横山が首をひねると、タタリは重いレコーダーを横山の肩にかける。

横山「重たい!」

 タタリは「言った」と笑みを浮かべる。

タタリ「よくも神さまの悪口を」

 タタリは巨大入れ歯で横山に噛みつき、痛めつける。そこへ「こら」とカミタマン(声:田中真弓 人形操作:田谷真理子、日向恵子、中村伸子)が。

カミタマン「タタリ、きょうこそお前を!」

 カミタマンはブーメランでタタリを攻撃。

 

 公園で逃げてきたタタリ。その上空にUFOが飛来。タタリは「UFO」とピンクレディーのポーズをとり、UFOを追っていく。

 UFOは高架下の空き地に着陸。ドラム缶に隠れるタタリ。UFO(声:三上由紀)はタタリの上で蛇口を出し、水を浴びせる。「ふああ」とすっきりした声を出すUFO。

タタリ「ふてえUFOだ。地球に立ち小便しに来やがって」

 タタリは入れ歯で反撃するが、UFOの体当たりでひっくり返り、歯が欠けてしまう。

 

 病院の前で、ナース姿のとらばる聖子(小出綾女)が道ゆく男性に「社長」と声をかけていた。

聖子「保険きかせてお安くしてあげる」

 次の男性が通りかかると、

聖子「学生さん、お注射1本サービスさせて」

 聖子が「うん」とウインクすると、男性は逃げ腰。そこへタタリが逃げていき、UFOも追ってきて聖子と男性はこけてしまう。

 

 根本家で冷蔵庫を開けるカミタマン。「助けてくれーカミタマン」とタタリが庭から入ってくる。「待て」と追ってくるUFO。

カミタマン「何だあいつ」

タタリ「UFO」

 カミタマンとUFOは対峙。

カミタマン「やるか」

UFO「やるか」

 両者はにらみ合う。

カミタマン「あちょー」

UFO「課長ー」

 タタリはテーブルの下で「カミタマン、頼んだよ」。カミタマンとUFOはぶつかり合う。

カミタマン「こらUFO、タタリをどうするつもりだ」

UFO「お仕置きーお仕置きー」

カミタマン「あ?」

UFO「早くタタリよこせ。さもないと」

カミタマン「え」

UFO「地球に浣腸して地球の便秘大爆発させたるー」

 カミタマンは、地球が浣腸されて爆発するさまを想像する。

カミタマン「タタリ、ここはひとまずこのUFOにつかまって」

 驚くタタリ。

カミタマン「地球を救うためだ」

タタリ「そ、そんな」

カミタマン「ここはバンド・エイドの精神 “We Are The World” だ」

 逃げるタタリに、カミタンブーメランが直撃。カミタマンは「心配するな。必ず助けに行くからな」とささやくとUFOに「さあさ、早く引き取って!」。

 

 病院の前では、聖子がまだ男性に攻勢をかけていた。

聖子「大丈夫よ大丈夫。いまは顔色いいかもしれないけれど、ちゃんをお病原菌くっつけてお病気にしてあげるからね」

 「ちょっとほんとやめてください」と厭がる男性。聖子がふと見ると、UFOがタタリを縛って連行していく。

UFO「おらおら、さっさと歩け」

 茫然と見送る聖子と男性。男性はその隙に逃げる。

 

 食卓でカミタマンは伸介(岩瀬威司)を説得中。

伸介「厭!」

カミタマン「タタリはこの地球を救うためにUFOにつかまったんだぞ」

伸介「いい気味、いい気味!」

カミタマン「な、頼む。いっしょに助けに行こう」

伸介「やだ!」

 伸介は行ってしまう。ママ(大橋恵里子)とマリ(林美穂)が庭から入ってくる。パパ(石井愃一)も「ただいま」と帰宅。

カミタマン「パパまで。うわあ、ドラマチックだなあ」

 

 高架下ではUFOがタタリを容赦なく虐待していた。

タタリ「早く早くヘルプミー」

 

 根本家では3人が席についていた。

カミタマン「では決を採らせていただきます。タタリを助けに行くのに賛成の方」

 パパとママは突如、腕相撲をする。マリはランドセルからノートを取り出して眺める。

カミタマン「では、ここはタタリに地球の犠牲となり、美しく死んでもらうことに賛成の方」

 パパとママ、マリはさっと手を挙げる。

カミタマン「納得」

 

 UFOに叩かれながら「何やってんだ、カミタマンの奴。助けに来るって言っておきながら」とタバコを吸ってあくびするタタリ。するとベルが鳴り、UFOの中から受話器が。

UFO「もしもし、もしもし。カミタマンからだ」

 タタリは「遅いじゃないの。困るんだよね、そういうルーズなことじゃ」と電話に出る。

地球を救うため? それじゃ約束が

 

 根本家の居間。受話器からタタリの声が聞こえる。

タタリの声「こら、何が唄おうだ」

カミタマン「まあまあ、タタリ。「We Are The World」、いっしょに唄おう」

 唄う伸介とマリ、パパ、ママ。

 

 電話は切れてしまう。「神さまのくせしやがって」とタタリは憤然。

UFO「神さま…」

 

 食卓にいる一同。

パパ「まあ、タタリも生きてるときは何の役にも立たなかったけれど、地球を救うために死ねるんだ。本望だろう」

ママ「そうね、そのうちタタリのお墓くらい立ててやりましょうね」

カミタマン「ほんと、人間って奴は」

 マリはカミタマンをでこぴん。

マリ「私もその人間なんだけど」

伸介「しょうがないだろ、カミタマン。地球を救うためなんだから」

 「タタリ、何となくかわいそうなことを」とカミタマンがつぶやくと、変な音が。いつの間にか、畳の上にUFOが。UFOはぎぎぎと牙をむき、怖がる一同。

UFO「タタリ逃げたー」

 UFOは浣腸を地球にセットしたので、1時間以内にタタリを見つけろと要求。

パパ「どうしたんだ、カミタマン?」

ママ「浣腸とか何とか」

カミタマン「地球に浣腸して、何億万年もたまっている地球の便秘を噴出させ、地球を爆発させる」

 みなは驚愕。UFOはふふふと不敵に笑う。

 

 伸介はカミタマンに、ネモトマンに変身させろと要求。ネモトマンはベランダから飛んでいく。パパとママ、マリも気勢を上げる。

マリ「タタリをつかまえて地球を救おう」

パパ・ママ「おー」

 カミタマンは「みんなその気になっちゃって」と嘆息。

 

 公園に逃げてきたタタリ。

タタリ「あのUFO、急にどっか行きやがって」

  その隙に逃げたタタリは、石を池に投げ込んでぼやく。

タタリ「カミタマンの奴、人間の手を借りておれを助けようなんてちょっと消極的すぎないかっていうの。だいたい最近の人間はみんな自分のことばっかり考えて、自分さえ生き延びればいいなんてバカ野郎」

 そこへ「タタリくん」と声がして、木の上にネモトマンが。

ネモトマン「地球を救うためです。つかまってもらいます」

 タタリにつかみかかるネモトマンだが、あっさりやられてしまう。だがパパとママ、マリもタタリを包囲していた。

マリ「タタリをつかまえろ」

 根本ファミリー4人がタタリを捕らえようとする。逃げるタタリ。追跡する4人に洗濯ばさみが襲来。顔を挟まれる。風車のついた機械から洗濯ばさみが発射されていた。逃げ出す4人。機械を操作していたのはカミタマンだった。

 

 気まずそうなカミタマン

タタリ「どうして、おれを助けに来なかったんだよ。それでもお前は神さまかよ」

カミタマン「ごめんごめん」

タタリ「神さまだったら、せめて約束ぐらい」

カミタマン「だから、みんなで助けに行こうとしたら」

タタリ「神さまがいつから人間のこと信用するようになったんだよ」

 タタリは怒る。

カミタマン「いまはそれどころじゃ。あのUFOが地球を爆発させる浣腸をセットしてしまったんだ」

タタリ「ええっ」

 

 高架下に来るタタリとカミタマン

タタリ「セットしたならこのへんのはず」

 すると笑い声がしてドラム缶からUFOが出てくる。

UFO「地球はどうなってもいいじゃありませんか」

カミタマン「何?」

UFO「うちの星行こう」

カミタマン「あ?」

 UFOの星には神さまがいないという。

UFO「うちの星で神さますれば、大もうけ」

タタリ「それで判った。わざとおれを逃げさせて、カミタマンをここにおびきだし、罠に?」

UFO「あーたりー。浣腸なんてセットしてないもーん」

 上から網が。慌てるカミタマンとタタリだが、網は何故かUFOにかかってしまう。

UFO「助けてくれー」

 

 夜になって、根本家の庭でUFOは笊に閉じ込められていた。

パパ「まったくふてえUFOだ」

ママ「ほんと。あしたになったらちり紙交換か燃えないゴミに出しちゃいましょう」

 カミタマンは「でも」とUFOを擁護。

マリ「カミタマンを自分の星につれて行って大もうけしようとした、悪いUFOなんでしょう?」

カミタマン「うーん、そうなんだけど」

 みなは夕ごはんを食べ始める。庭の笊の中で泣くUFO。

 

 夜が更けて、伸介の横で寝ているカミタマンカミタマンがふと目ざめると、UFOはまだ泣いていた。空を横切る流れ星。

UFO「ママ、ママ」

 笊の前にタタリがいた。

UFO「タタリ、ぼくを助けに?」

カミタマン「ふ、バカ言うな。お前をちり紙交換にでも売って、小遣い稼ぎをしようと」

UFO「ぼくはゴミじゃない」

 カミタマンがトンカチでタタリを殴って気絶させる。

UFO「カミタマンまで」

 UFOの目が点滅。カミタマンは笊の鍵を外してあげるのだった。

カミタマン「さあ、逃げるんだ」

UFO「え」

カミタマン「さあ、早く」

 お礼なんかいいから、さあ早く」とカミタマンは急かす。

カミタマン「あ、その前に」

 後ろに公衆トイレが浮かび上がる。出てくるUFO。

カミタマン「すっきりしたか?」

 UFOは「カミタマン、ありがとう」と浮かび上がる。

カミタマン「もう二度と立ち小便しによその星に寄るなよ」

 手を振るカミタマン。その後ろで伸介とマリが見ていた。

伸介「カミタマンの奴、やっぱりあのUFO逃がしたか」

マリ「私の言った通りでしょ」

伸介「ああ。カミタマンの野郎、いいことした気分でいやがって」

マリ「いいじゃないの、たまには。何しろカミタマンって本当は神さまなんだし、もうちょっと日ごろからかっこつけなくっちゃ」

 カミタマンに後光が差す。

カミタマン「さよなら、さよならー!」

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タタリの宇宙大戦争

タタリの宇宙大戦争

  • 発売日: 2020/01/01
  • メディア: Prime Video

【感想】

 モスガと佃煮博士のインパクトに押されて最近かすんでいた感のあるタタリだが、今回はUFOとの攻防を繰りひろげる。結果的に今回がタタリ最後の登場になってしまって特に最終決戦や末路が描かれることはなかった。不思議コメディーシリーズの前作『どきんちょ!ネムリン』(1984)でも作品の早期終了ゆえか好敵手・イビキとの決着がついたのかは不明瞭で、後年の『有言実行三姉妹シュシュトリアン』(1993)でも意味ありげに登場した敵キャラクター・金平糖夫人が再度出てくることはなく、昭和期のドラマシリーズにありがちなことではあるけれども、いつの間にか消えてしまう敵も不コメのお家芸と言えようか。

 浦沢義雄脚本では『ペットントン』(1983)の第35話「たのしいたのしい宇宙戦争」で「宇宙の戦争はみんなにらめっこ」で雌雄を決するというねたがあり、にらめっこによる戦争が行われた。また『ネムリン』の第16話「肉まん・アイス大戦争」では東西冷戦にヒントを得たとおぼしい肉まんとアイスとの二大陣営の衝突を大真面目に映像化していた。しかし今回は主にUFOの陰謀が描かれ、根本家も巻き込むとは言え「大戦争」と銘打っているわりに戦争の要素は薄い(本作では既に第23話でリアルな戦場?が描かれた)。 

 不コメでは『バッテンロボ丸』(1982)の第13話「地球さいごの大みそか」で同様に地球の危機に主人公・ロボ丸が犠牲になろうとしたのに対して、今回はつかまったタタリに根本家の面々が誰も同情しなくて面白い。タタリも「最近の人間はみんな自分のことばっかり考えて、自分さえ生き延びればいいなんて」とご立腹だが、この点は本作のコメディ志向に加えて、大多数の人が公的な志よりも自らの欲求(自分らしさ)を重視するようになってきた時代の変化だとも考えられる。本作の翌年の『もりもりぼっくん』(1986)では主人公が動物とロボットの和解を訴えても民族対立はまるで収まらず、一方で人間たちは何ら関係なく個々の事情にかまける構図が描かれた。

 先述の『ロボ丸』では実際に地球を破壊するべく爆弾が仕掛けられるのだけれども(仕掛ける宇宙人役は石井愃一氏)、今回は爆弾でなく地球に浣腸するというアイディアで、その衝撃によりどこが宇宙大戦争なんだ?というような不満もあまり湧いてこない。『ロボ丸』は不コメにしてはシリアスなトーンであったが、今回は地球に浣腸するイメージを実写で映像化しているのには驚愕する。

 『美少女仮面ポワトリン』(1990)の第38話「ぼくはリーサルウェポン」では怒ると浣腸する母親が登場して面白かったけれども(幼いころの筆者は浣腸という語を『ポワトリン』のおかげで覚えた)、今回の地球に浣腸というほうが当然驚きは大きい。

 妙に人間味があるUFOは、浦沢脚本では『ペットントンスペシャル』(1984)やアニメ『あんみつ姫』(1986)、『ポワトリン』の第21話「超能力者はお化けが好き?」など度々登場する。今回は特に小悪党っぽい性格だが、うたう!大龍宮城』(1992)ではUFOが準レギュラーで人間体を螢雪次朗氏が演じていて、この手のUFOねたの集大成と言えよう。ちなみに『ポワトリン』21話などは、地球に小便をするUFOという今回のアイディアを流用している。

 ラストでのUFOとの別れは無理くり盛り上げている感があり、落ちをつけるための作為に笑わされる。しかしただ盛り上げるのではなく、わざわざ後光を入れたりして苦笑を誘うあたりは本作だけでなく不コメ全般のアンチクライマックス的でドライな精神を感じさせる。

 大井利夫演出は、居間でUFOとカミタマンがどつき合う場面では移動撮影もあってさりげない凝りように感嘆(UFOが根本家を脅すシーンも凄みを感じさせる)。終盤で暗闇に公衆トイレが浮かび上がるのも面白い。ライトアップされたトイレというのもなかなかお目にかかれない光景であろう。タタリだけでなく大井監督も今回を最後に『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』(1985)に異動してしまったのが残念である。

 今回のUFOは『ロボ丸』のバッテンソーサーを改造して使用している。

 UFOの声の三上由紀氏は、かつて『ロボット8ちゃん』(1981)のダチョーンバードの声も担当した。