『勝手に!カミタマン』研究

『勝手に!カミタマン』(1985〜86)を敬愛するブログです。

第17話「爆笑!海賊おじさん」(1985年8月4日放送 脚本:浦沢義雄 監督:佐伯孚治)

【ストーリー】

 蛇のオブジェのある公園でくつろぐ横山(末松芳隆)とカミタマン(声:田中真弓 人形操作:田谷真理子、日向恵子、中村伸子)。ハワイのワイキキやメキシコのアカプルコを思い浮かべる。

横山「そして千葉の海」

カミタマン「え!?」

横山「何たってぼくの父さんの田舎だもん」

カミタマン「そこがださいって言うの! 海は誰が何と言おうとカミタン島の海」

 カミタマンは「心はもうトロピカル」と思い出して踊り出す。

横山「千葉の海だってそこはもう南の国のパラダイス。心はもう大漁節」

 横山は漁船を思い浮かべて「エンヤトット」と踊り出す。いつのまにかカミタマンの姿がない。

 

 「エンヤトットのどこがパラダイスなんだ」と帰宅したカミタマン。伸介(岩瀬威司)とママ(大橋恵里子)、マリ(林美穂)は黙々とそうめんを食べている。

カミタマン「横山の奴、この暑さのせいできっと頭が」

 カミタマンのお腹が鳴るが、みなは黙殺して食べつづける。

カミタマン「あれ」

 そうめんはなくなってしまい、カミタマンは「ひどいー」と箸を取り落とす。

 

 さっきの蛇のオブジェの前をマリが友人(伊藤亜子)と通りかかる。

友人「最近、バカいなかった?」

マリ「いたわよ。お兄ちゃんの友だちなんだけど」

友人「もしかして横山?」

マリ「あったりー」

友人「あの子、この夏休みまだバカやってんの?」

マリ「カミタマンの話だと千葉の海がパラダイスでエンヤトットなんだって」

友人「うわあ、激しそう」

マリ「でしょう?」

 蛇の後ろから出てくる横山。

横山「カミタマンの奴、よくもマリちゃんに千葉の海の悪口を言ったな。こうなったらあいつを千葉の海に送って」

 

 庭のプールでサングラスをかけて日向ぼっこをしているカミタマン

カミタマン「ちゅめたーい」

 アイスキャンディーが浮かんでいて、溶けて垂れてきたのだった。ジャンプしてかぶりつくカミタマン。塀の向こうで横山が釣り糸でアイスキャンディーを釣っていて、カミタマンは捕まってしまう。

 

 カミタマンは箱に入れられ、横山に運ばれる。カミタマンが騒ぐと横山は「静かにしないと」と箱を振りまくる。横浜は箱を宅配便で千葉に送ってしまう。

 

 夜になってパパ(石井愃一)とママは眠そう。

パパ「カミタマンの奴、どこ行ったんだ?」

ママ「あなた、もう寝ましょうよ」

 

 宅配便の人が「どっこいしょ」と海辺に箱を置いていく。カミタマンは箱を破って出てくる。漁師が「エンヤトット」と通り過ぎる。

カミタマン「これが横山が言ってた千葉の海」

 カミタマンは砂浜で「この海の向こうに、カミタマンが生まれて育ったカミタン島が…」とつぶやき、誰も見ていないことを確認して慟哭。

カミタマン「来たときと同じようにインスタントラーメンに入って、カミタン島に帰るんだ!」

 

 歯を磨くパパ、ママ、伸介、マリ。「カミタマンわぁ?」などと言うが、磨きながらで言語不明瞭。

 

 「ジャジャジャーン」「おれは海賊ーだ。なんか文句あっか」と言いながらモーターボートに乗った中年の海賊(及川ヒロオ)が現れる。海は何も答えない。

海賊「ねえな。ざまあみろ」

 海賊はカップラーメンを海から拾い上げて「持ってんだね、ちゃんと。ぬるいかな」とポットでお湯をかける。3分経ったところでしおしおのカミタマンが。

海賊「何だ何だ、その無気力さは」

カミタマン「お前が手抜いて、生ぬるいお湯かけるから。ちゃんと熱湯かけろ」

 「このインスタント野郎」と海賊はカミタマンにかぶりつく。だがまずいので「海水につけて塩味にして」とカミタマンの頭を海に何度も沈める。だがそれでもまずいので、海賊はカミタマン行川アイランドに売って当面の生活費にすると言い出す。

海賊「南房総 愛の島 行川アイランド

 海賊のボートは動き出す。

 

 海賊はカミタマンを自転車の荷台に縛りつけて行川アイランドへ向かう

 

 行川アイランドの所長(歌澤寅右衛門)は「またかね」と迷惑そう。

所長「いやあね、うちにはフラミンゴショーはあるし、孔雀の大飛行やほろほろ鳥の空中飛行だってモンキーハウスだってトロピカルバードセンターだってあるんだ」

 所長は断るが、カミタマンは「見せ物じゃないぞ」と怒る。カミタマンは縄をほどき、木槌で海賊を叩いて脱出。

 

 居間で扇風機に当たりながら、ごろごろしているパパとママ、マリ、伸介。電話が鳴ってマリが出る。

 

 カミタマンが公衆電話から「それが変な海賊に捕まっちゃってさ」とかけている。海賊が「いたいた」と追いかけてくる。「助けて」と逃げるカミタマン

 

 マリが「カミタマン助けてくれって言ってたけど、どうする?」と水を向けるとみなは「行く行く行く」。横山も「ぼくもぼくもぼくも」と庭から入ってくる。とらばる聖子(小出綾女)も「私も私も私も」とどこからともなく出現。

パパ「よし、これで決まりだ」

 みなははしゃぎ、マリは呆れつつも微笑む。

 

 カミタマンが逃げてくると孔雀の大飛行が始まる。カミタマンも真似して飛んで、木に激突。

 海賊がカミタマンをさがしていると、フラミンゴショーが。

 さまようカミタマンはモンキーハウスへ。面白がっているとピグミーの檻の中にもうひとりのカミタマンが。後ろから海賊が変顔で現れる。

カミタマン「ほろほろ鳥、助けて」

 海賊は剣を持って追いつめる。

海賊「7つの海を股にかけ、いろんなものを食ってきたが、神さまだけはまだだっちゃ」

 「さっき生でかじってまずかったでしょ」とカミタマンは反論。

海賊「神さまの丸焼き、おいしそうじゃねえか」

 だがさっきの所長が海賊を後ろから殴り倒す。

所長「すまないがこの海賊、外に連れ出してくれないか」

 海賊がいつも変なものを釣って売り込みに来るので、所長は困っているという。倒れている海賊は「べー」。驚くカミタマン

 

 駅にいる海賊とカミタマン。海賊は太平洋で難破して千葉に流れ着いたという。

海賊「いまじゃすっかり千葉県人となってしまった」

カミタマン「え、千葉県人の海賊?」

 昔を懐かしむ海賊。そこへ特急が到着。カミタマンはみなが心配しているからと、帰ろうとする。

海賊「いいんだいいんだ。おれはひとり淋しく千葉県人の海賊で生きていけば」

カミタマン「ああ。そう、それがいい」

 ずっこける海賊

海賊「だあ、そりゃねえだろうお前。第一、それは下りだよ」

 驚くカミタマン。伸介たちが列車から現れる。

聖子「こちらにありますのは行川アイランドでございます」

 聖子はガイド役。伸介は「助けに来たぞ」と言い、みなは構える。困惑した顔の海賊。

カミタマン「事件は解決しちゃったの。さあ、帰りましょう」

 わざわざ助けに来たのに帰りましょうとは何だと、みなは反撥。

横山「こら、海賊。お前がもう少ししっかりカミタマンをいじめていれば、こんなことには」

マリ「そうよそうよ」

 海賊は怯える。

カミタマン「みんなの都合で喧嘩してるわけじゃ」

マリ「都合でやりなさい」

カミタマン「ええ、そんな」

マリ「やらなければ私たちが行川アイランドに来た理由がなくなるでしょう」

 逃げ出すカミタマンと海賊。海賊は「遅いんだよ。それじゃ亀タマンだぞ」とカミタマンを抱き上げる。みなは喜ぶ。

 

 プールに来た海賊とカミタマンは水着姿のママとマリ、聖子に出くわす。「戦わなくちゃダメじゃない?」「戦いなさい」と発破をかけられる。

カミタマン「何がカミタマンを助けに来ただ。自分たちが遊びたいために来ただけじゃないか」

 

 海賊は空腹なのか「パイナップルか」とアカマツにかじりつく。見ると伸介とパパ、横山は鉄板焼きを食べていた。海賊も食べようとすると、パパは「こら、何やってる。戦え戦え」。伸介と横山も「戦え戦え」。

 

 逃げてきた海賊とカミタマン

海賊「お前はいいよな、帰れるところがあって」

カミタマン「ん」

海賊「ちょっと強引な奴らだけど、東京からわざわざお前を助けに来てくれる奴がいるんだもんな」

 海岸に戻った海賊とカミタマン

海賊「この海の向こうにおれの生まれ故郷があるんだよ」

 カミタマンはカミタン島へいっしょに行って、神さまになろうと誘う。

カミタマン「簡単。カミタマンがなれたんだからさ」

 海賊は笑って「カミタマン、あばよ」と行く。カミタマンがカミタンブーメランを放つと、ブーメランは手紙を載せて戻って来た。

カミタマン 

 気持はうれしいが俺も海賊だ。

 神様になる位なら千葉県人の海賊として立派に生きたい。

 追伸 カミタマン みんなと仲良くしろよ。」

 海賊がモーターボートに乗って「エンヤトット」と去っていくのが見える。カミタマンは涙する。

 伸介たちも後ろにいて泣く。

海賊「カミタマン。達者でなー」

カミタマン「海賊、友情だなあ」

 

 それから1週間後。冒頭の蛇のオブジェでカミタマンがジュースを飲んでいると、マリが海賊からのはがきを持って来た。

 

 海賊は木の上で翼をつけていた。

海賊「おれはいま、行川アイランドでアルバイトしてる」

 

 読み上げるカミタマン

カミタマン「今度会うときには、千葉県人の海賊から立派な千葉県人のほろほろ鳥になっていると思う」

 

 海賊は「ほろほろほろ」と木から飛び降りて、笑顔で地面に転がる。

【感想】

 千葉県人の海賊がゲストだが、行川アイランドとのタイアップ回であるので、アイランドありきで海賊の設定は後づけであろうと推察される。同じ不思議コメディーシリーズでは『バッテンロボ丸』(1982)の第10話「神様がスーパーカーでやってくる」はタイアップで那須ロケが行われた。『ペットントン』(1983)や『どきんちょ!ネムリン』(1984)でもテーマパークのタイアップがあり、その流れで今回も行川アイランドがフィーチャーされている。フラミンゴショー、モンキーハウス、トロピカルバードセンターが台詞にも映像にも出てくるという露骨さなのだけれども、一方で付近の海に海賊と称するあぶないおじさんがいて辺りをうろつき、所長が海賊を殴り、最後に海賊はアイランドでほろほろ鳥として働くことになる設定。ラストで鳥の真似をしてへらへら笑うあたり、いまなら不可になりかねない内容である。ちなみに『ペットントン』の第18話「ハチャメチャ動物園」では東武動物公園にライフルを振り回す冒険家が潜伏していて、今回と同様、作中で施設名が出ているにもかかわらず奇人がいる設定を許容するとは、鷹揚さに驚かされる。

 カミタマンがみんなの都合で喧嘩してるわけでないと抗弁するとマリが「都合でやりなさい」と言い放つが、タイアップによる作劇の「都合」に関してメタ的に言及するのは皮肉を感じさせて面白い。

 行川アイランドのロケは、東映作品では恒例行事的に何度となく行われており、本作と近い時期では『宇宙刑事シャイダー』(1984)の第22話「SOS!不死鳥!」や『星雲仮面マシンマン』(1984)の第29話「海賊の宝を探せ!」、『超新星フラッシュマン』(1986)の第22話「人魚が呼ぶ海の怪」がある。今回はみなが鉄板焼きを食べたりしており、キャスト・スタッフの慰安も兼ねていたと思われる。

 『ネムリン』では第4話のタイトルが「寝不足おじさん」で準レギュラーのイビキが参戦し、第14話「爆笑!タイムスリップ」ではタイムスリップおじさんが加入した。今回は「海賊おじさん」で何ともお手軽なネーミングだけれども、もしかするとイビキやタイムスリップおじさんのように「千葉県人の海賊」も準レギュラーにする構想が少しはあったのかもしれない。本作の翌年の『もりもりぼっくん』(1986)の第33話「バイキングの贈り物」には、やはり1回限りのゲストとしてバイキングが登場した。

 後半でみなが行川アイランドで愉しげに遊ぶシーンでは、何故かせつなげな村上孝蔵「踊り子」のインストゥルメンタルが流れている。

 千葉県人の海賊役の及川ヒロオ氏は今回を皮切りに不コメに多数出演しており、本作にもこの後で佃煮博士役で準レギュラーとして再登場。他に『もりもりぼっくん』のサムシングとターザンの二役、『うたう!大龍宮城』(1992)の第15話「クラゲ」のデンキクラゲ役など強い印象を遺した。アニメーション映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1988)など声優の仕事も多く、今回の「だあ! そりゃねえだろうお前」という台詞など声の存在感がすごい。

 園長役の歌澤寅右衛門氏は映画『八月の狂詩曲』(1991)などに出演しており、不コメでは『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』(1989)と『魔法少女ちゅうかないぱねま!』(1989)にも登場する。

 マリの友人の伊藤亜子氏は他に『うちの子にかぎって…スペシャル2』(1987)に出演。

 横山やカミタマンのいる蛇のオブジェは板橋区立へび公園。本作は板橋区内のロケが目立つ。