『勝手に!カミタマン』研究

『勝手に!カミタマン』(1985〜86)を敬愛するブログです。

第15話「怒りの冷しハンバーグ」(1985年7月21日放送 脚本:浦沢義雄 監督:佐伯孚治)

【ストーリー】

 朝、ママ(大橋恵里子)が「みんなごはんよ」と呼ぶ。「暑い、ああ暑いよ」と舌を出してふらふらのカミタマン(声:田中真弓 人形操作:田谷真理子、日向恵子、中村伸子)だが、伸介(岩瀬威司)は元気そう。

カミタマン「伸介、お前よく平気だな」

伸介「ぼく、学校の成績悪いから」

カミタマン「ぽげ」

 マリ(林美穂)も「朝からこれじゃたまんない」。パパ(石井愃一)も出てくる。

パパ「ママ、この暑さじゃ食欲なんてないよ」

ママ「でしょ? だからきょうの朝ごはん、氷いちごにしたの」

 「えっ」とみなは驚く。平然と配るママ。伸介は黙々と食す。

 

 太陽が照りつける公園。少年1(斉藤誠治)がベンチでばてて寝ていた。「わっせわっせ。おっす」と来るカミタマン

少年1「この暑さに声なんかかけるなって言うの。バーカ」

 そこへ「おたたりだす」と声がしてタタリ(花房徹)が現れる。驚く少年1。タタリは少年の名札を見て「えーと、キヨヒコ」と確認し、カセットプレーヤーで少年1のさっきの発言を再生し、神さまの悪口を言ったたたりを遂行。少年1は防寒の帽子を厚手のコートと毛布につつまれる。ストーブまで2台現れ、苦しむ少年1。

 

 少年2(藤森一騎)が裸で公園の池で涼んでいた。カミタマンが「おっす」と通り過ぎる。

少年2「こんな暑いのに」

 うんざりした顔の少年2。そこへタタリがポラロイドカメラを持って現れる。

タタリ「神さまをバカにした」

 さっきの少年2のうんざり顔が写っている。タタリは手に炎を出し、池は沸騰。

少年2「あちあち、熱いよ。どうにかしてくれよ」

 タタリは「湯加減、どう?」と哄笑。

 

 少年3(山﨑智英)が公園の石でばてている。「おっす」と来るカミタマン。するとタタリが無駄に大きい虫メガネを持って「おたたり」と出現。

タタリ「神さまに挨拶しなかったおたたり」

 タタリは虫メガネで光を集め、少年3のズボンは燃え始め、煙が上がる。「熱い熱い」とのたうち回る少年3。笑うタタリだが、つい虫メガネを自分の頭にかざしてしまい「あちち」と消える。

 

 「熱いよ」と涙を流しながら根本家に来た少年3。「やめてよ」とマリの声が。庭で少年1と少年2が「おたたり」とマリのスカートをめくっていた。

マリ「判ったわよ、でもどうしてカミタマンのせいでおたたりされたからって私のスカートめくるの!?」

 逃げ回るマリ。凝視していた少年3も痴漢行為に加わる。

マリ「あなたも? やめてよ、やめて」

 電話のベルが鳴り、マリは「ちょっと待ってて」と出る。横山から伸介にバーベキューの誘いだった。

マリ「判った。帰ってきたら3丁目の工事現場ね。はい。あ、横山さん。私ね、実は…」

 物欲しそうに見ている少年3人。

マリ「いまスカートめくりされてんの。ほんとに厭んなっちゃう。え? いやあね、ちゃんとはいてるわよ」

 笑顔を浮かべるマリ。

 

 電話ボックスで笑う横山(末松芳隆)。

横山「今度ぼくも参加したいなあ。マリちゃん、いちごのやつ、とても似合うんだもん」

 「じゃあね」と切るマリは「もうちょっと待ってて」と2階へ。引き出しを開けていちごのパンツを取り出す。男たちの色情を刺激するかのような超ミニにいちごパンツを履いたマリが庭へ戻るが、誰もいない。マリは「もう!」と不満げ。

伸介「ただいま」

 帰宅した伸介にマリはバーベキューの件を告げると「勝手に食べてくればいいでしょ」とほうきで殴りかかる。「何だよ」と逃げ回る伸介。

 

 バーベキューと言っても工事現場でめざしを焼いている横山と伸介。

横山「タタリのせいでスカートめくられたって言ってたから」

 伸介は猛然と食べ「カルシウムをいっぱい摂って、タタリをやっつけるから」。

 

 橋の下で「カミタマンの神よ、どうかこの暑さを何とかしてくれ」とばてているカミタマン。すると地響きが。

 橋の上で伸介がどすんどすんと四股を踏んでいた。

伸介「カミタマンはどこだー!」

 「何だ何だ」と上がってくるカミタマン

カミタマン「伸介、お前いやに力んじゃってどうしたの」

 伸介は「カルシウムをつけた根本伸介だ」と宣言。

伸介「タタリをやっつける。早くネモトマンにしろ」

カミタマン「何だか知らないけど、勝手になってくれ」

 カミタマンは木槌を渡し、伸介はネモトマンに変身して飛んでいく。

 駅前の雑踏で「おたたりされたい者、この指とまれ」と踊るタタリ。ネモトマン(岩瀬威司)が飛んでくる。

タタリ「お、貴様は」

ネモトマン「神に代わって悪を斬る。正義のスーパーヒーロー!爆発!ザ・カルシウム入りネモトマン」

 ネモトマンは「えい」と意気盛ん。「カルシウム入りキック」とタタリを吹っ飛ばす。

 

 根本家の庭で檻に入れられているタタリ。ネモトマンが「さ、シャワーでも浴びてくるか」と家へ入っていくと、タタリは「おたたりがなくなると、人間いまよりも神さまのことバカにするぞ」とカミタマンに説く。

カミタマン「まあ、それはそうなんだけどな。タタリ、はっきり言ってカミタマン、迷惑してるっち」

タタリ「おれにか?」

 タタリはカミタマンのためを思ってたたりをしているのだという。カミタマンは「大きなお世話やめてよ」と怒る。

タタリ「冷奴食べさせれば、やめたる」

カミタマン「何!?」

タタリ「うん、冷奴」

 

 カミタマンが離れた隙に、タタリは「バカめ。この暑さの中、冷奴さえ食えばこの檻なんか」と嘯く。カミタマンは「冷奴、冷奴。さあさあ食べて食べて」と冷奴を運んで来る。食べたタタリは檻をあっさり開ける。

タタリ「おれがおたたりやめるわけがないだろう。これからもお前が厭がる大きなお世話おたたり、やりまくってやろう」

 行ってしまうタタリ。

カミタマン「あの濁った目を信じたカミタマンがバカだった」

 シャワーを浴びて出てきた伸介は驚く。

 

 高層ビル街で「♪かごめかごめ」と踊るタタリ。ネモトマンが走り寄る。

ネモトマン「カルシウム入りラリアット

 やられるタタリ。

 

 タタリは根本家の庭でまた檻に入れられている。

ネモトマン「カミタマン、二度とタタリにだまされるな」

 「また汗をかいてしまった」とネモトマンはシャワーを浴びに行く。

タタリ「カミタマン、実はおれ満足な義務教育、受けてないんだ」

カミタマン「な、何だ突然」

タタリ「神さまに満足な義務教育受けてないタタリの気持ちなんか」

 タタリは「1度でいい、目いっぱい冷やし中華食べて見たかった」などと言い出し、「ふるさと」を歌って泣き伏す。

 カミタマンが離れた隙に、タタリは「こんな鍵、冷やし中華さえ食べれば」と嘯く。カミタマンは「冷やし中華冷やし中華」と冷やし中華を運んで来る。

カミタマン「世の中には満足な義務教育を受けていなくても、偉くなった人はたくさんいるんだぞ」

 食べたタタリは檻をあっさり開ける。

タタリ「実はおれ、三流だけどちゃんと大学出てるんだ」

 行ってしまうタタリ。

カミタマン「あの蓄膿症っぽい鼻を信じたカミタマンがバカだった」

 シャワーを浴びて出てきた伸介は驚く。カミタマンは責任を取るという。

 

 高層ビル街で「♪海はおたたり 大きいな」と踊るタタリ。カミタマンが怒って飛んで来る。

カミタマン「バカにされたっていいや。お前に大きなお世話されるより人間たちにバカにされたほうが」

 タタリはカミタマンに神さまの資格はないと、巨大入れ歯で攻撃。

カミタマン「入れ歯外し」

 カミタマンはブーメランで反撃する。

 

 根本家の庭でまたまた檻に入れられているタタリ。

タタリ「食べたい。判るだろう。冷奴、冷やし中華と来れば、その次に来るものは…」

 「うーん」とつぶやくカミタマンに伸介は「カミタマン、考えるな。よせ、やめろ!」。

タタリ「その次は?」

伸介「冷やしハンバーグ!」

 タタリは「その通り」と喜び、伸介は「答えてしまった」とうなだれる。

タタリ「冷やしハンバーグさえ食べさせてくれれば、もう大きなお世話おたたりしない」

カミタマン「ばーか、そんなもん誰が食べさせてやるか。なあ、伸介?」

 伸介は淡々とハンバーグを焼き始めていた。謎のナレーション(木村修)がかぶさる。

ナレーション「冷やしハンバーグとは、冷凍のハンバーグをフライパンで焼き、氷入りの器に入れたものである」

 カミタマンは「何してるんだよ!」と詰め寄るが、伸介はタタリの気持ちが判るという。

伸介「ぼくはタタリを信じる」

 

 庭でタタリは「冷やしハンバーグさえ食えばこんな鍵、いやこんな檻、いやいやこんなうち、簡の単」と嘯く。

 伸介は冷やしハンバーグを運んで来る。カミタマンは「ああ、負けた」。食べたタタリは檻を豪快に破壊。

伸介「あの無教養なおでこを信じたぼくがバカだった」

 タタリは巨大入れ歯で家に噛みつく。

カミタマン「大変だ。うちが壊される!」

 家は揺れ、中で転がる伸介とカミタマン。だが急にタタリのお腹が痛くなった。救急車に運ばれるタタリ。

 

 夜になってマリは「冷奴食べて、冷やし中華食べて、おまけに冷やしハンバーグ食べればそりゃ誰だってお腹壊すわよ」と呆れ顔。カミタマンは仕方なく見舞いに行くという。

カミタマン「この近所に知り合い、おらっちしかいないっち」

 新聞を読んでいたパパが「夕ごはんまだ?」と来る。

カミタマン「まさか、今夜も暑いからって氷いちごじゃないだろうね?」

ママ「まさか、ちゃんと氷メロンにしといたわよ」

 みなは嘆息するが、伸介は嬉しそう。

【感想】 

 タタリは、前回登場時は兄に振り回されるような役回りだったが、今回はまたカミタマンと攻防を展開。しかし普通に戦闘が勃発するわけではなく、タタリがカミタマンに余計な世話を焼き、恨みを買ったマリが痴漢に遭い、八つ当たりされたネモトマンが怒り…と思いつくままに発作的な展開が繰り出され、から騒ぎっぷりには感嘆。ただしめざしを食すことでそのカルシウムでネモトマンが強化されるのは、中盤以降にタタリが料理で強化される伏線になってもいて、実に巧みである。

 前半は氷いちごなど夏の暑さが強調され(80年代なので猛暑と言っても気温は30度くらいだろうが)、後半の戦いは冷奴や冷やし中華など夏の料理がつづき、締めは氷メロンでとりあえずは一貫性が確保されている。

 中盤には第6話につづいてまたスカートめくりの場面があり、しかもは暑さとは特に関係ないけれども、今回は男子3人がマリを相手に平然と集団痴漢を行っていて衝撃的な映像ではある。マリは第10話などで横山を殴り倒していて、成人男性ならともかく少年ならば撃退するのは不可能でないはずだが、3人が自宅で唐突に襲って来たので動揺したのだろうか。めくられていたら女性として目ざめたらしく横山に自慢してまんざらでもないあたりはポルノグラフィのようで、大人を使うと安手で新味のない設定でも、子役やら無生物やらだと斬新に思えるあたりは不思議コメディーシリーズの面目躍如だと言えよう。『ペットントン』(1983)の第25話「根本君のガールハント」では少年と中年男の痴態が不倫カップルのように描かれていたのを想起した。

 序盤の氷いちごは偶然なのかタタリが前回登場した第12話でもフィーチャーされていたけれども、圧巻なのはタイトルロールの冷やしハンバーグで、ナレーションまで入るという気合いの入れよう。誇らしげな?画面を見ていると何だか食したくなってくる(第12話でも「氷クリームいちごフルーツ・ア・ラ・モード」がわざわざつくられていた)。この4年前の1981年に刊行された『かぎばあさんの魔法のかぎ』(岩崎書店)ではパイナップル入りハンバーグが描かれて小学生のころに読んだ筆者は食べてみたいと思ったが、80年代はハンバーグがある種のブームだったことが窺える。

 伸介と横山は工事現場で「バーベキュー」と称してメザシを食べ、そのメザシによってネモトマンはタタリを叩きのめす活躍をみせる。浦沢脚本でカルシウムでパワーアップするのは『もりもりぼっくん』(1986)の第9話などがあるほか、『うたう!大龍宮城』(1992)の第20話「ヒラメ」では骨の怨霊・聖なるザ・カルシウム(マルセ太郎)が描かれた。

 タタリに襲われた後でマリに痴漢する少年のひとりを演じた藤森一騎氏は『巨獣特捜ジャスピオン』(1985)の第21話「熱球少年が投げる時速160kmの勇気」やカルト的な評価の高い『魔夏少女』(1987)などにも出演。

 冷やしハンバーグのナレーションは、不コメのみならず東映作品常連の木村修氏。第3話第27話などにも別の役で登場する。

 タタリとネモトマンの攻防は、最初の争いは第12話でも使われている新宿西口の小田急百貨店前で中盤は副都心の高層ビル街。『ペットントン』や『どきんちょ!ネムリン』(1984)でもハプニング撮影はあり、周囲の人は驚いたり注目して集まって来たりしていたが、今回はタタリの怪しさゆえ通行人が明らかに避けている。

 ネモトマンが四股を踏むのは埼玉県和光市の芝宮橋。第26話でも使われているほか、不コメでは『おもいっきり探偵団覇悪怒組』(1987)の第32話にも出てくる。